CAAはアクチュアリーと共に働く新資格

CAAの試験について

試験はイギリスやアメリカのアクチュアリー資格と比較すると試験科目数は少なく、合計6科目、適性試験1科目そして1年の実務経験となっています。
また、試験はすべてオンラインで受験が可能で、一つ一つの試験合格に必要な学習時間もアクチュアリー資格試験と比較して少なくなるよう設計されているようです。
試験は年2回、試験時間はModule 0-4までは2時間、Module5が3時間です。
Module 0 : Fundamental Mathematics & Statistics
Module 1 : Finance and Financial Mathematics
Module 2 : Statistics and Models
Module 3 : Long Term Actuarial Mathematics
Module 4 : Short Term Actuarial Mathematics
Module 5 : Models and Audit Trails
試しにModule 0のシラバスを見てみましたが、日本やアメリカのアクチュアリー資格試験の1次試験シラバスと比較するとかなり基礎的な部分を扱っています。
一方で、受験者が最後に受験するModule 5はMicrosoft Excelを使用した試験となっており、シラバスもExcelの関数等の機能を学ぶ項目が含まれるなど、より実務を意識したものとなっている印象を受けました。

CAAを取るメリット

Websiteの触れ込みを見ると、メリットの一つは「大学のアクチュアリー専攻で学んでいない人にアクチュアリー関連部署で勤務するチャンスを広げる」ことのようです。
日本では例外的に大学での専攻内容と業務内容の関連性がそこまで強くは求められませんが、多くの国では大学での専攻が就職先の職種に直結します
また、日本のアクチュアリー会には「研究会員」という肩書?がありますが、他国は準会員(Associate)以上でないと肩書として使うことはないため、1次試験を全科目合格できなかった人は就職/転職マーケットの観点からいうと“ただの人”になってしまいます。そういう人に対する受け皿としての役割も果たしうるのかもしれません。
業務上のメリットとしては、この資格取得後はイギリスかアメリカのアクチュアリー協会が会員向けに提供している各種情報を利用することができるようです。
まだ創設して間もない資格のため、CAAを取ることの上記以外の具体的なメリットは現段階では正直よくわかりませんが、これからこの資格がどのように発展していくのか長い目で見守っていきたいと思います。

CAAを取るとアクチュアリー資格に繋がる?

ここまで読んだ皆さんは、
「ではCAAを取るとアクチュアリー資格への道が開けるのか?」
「CAAの科目に受かっているとアクチュアリー資格試験の一部を免除してもらえるのか?」
という疑問を持ったのではないでしょうか。
残念ながら現段階ではそれに対する明確な方針は示されていません。
イギリスのIFoAは今後検討を行う、そしてアメリカのSOAは現段階ではアクチュアリー試験の代替にはならない、と記載されています。
しかしながら今後の協会の方針次第でアクチュアリーへの新たな登竜門としてこの資格が位置付けられる日が来るかもしれません。あるいは、近い将来アクチュアリーとCAAの役割分担が確立し(例えば医師と看護師のような関係になる)各企業が積極的にこの資格保有者を採用するようになれば、アクチュアリーと並ぶ資格として認知されていく可能性もあるのではないかと考えられます。